小笠原諸島西方沖地震で高層階エレベータ停止頻発!

5月30日の午後8時24分ごろ、小笠原諸島西方沖を震源とするマグニチュード8.5の強い地震が発生しましたね。

この地震で東京都でも震度4の大きな揺れを観測しましたが、首都圏では各地で交通機関の乱れとともに、エレベーターの停止が頻発したようです。

特に高層ビルでは高層階に居た人たちが一時取り残されるという事態が発生していたようです。

港区の六本木ヒルズ森タワーでは、高層階にいた客がエレベータの停止後の2~3時間、非常用エレベーターの稼働まで身動きがとれませんでした。

同港区の東京タワーでもエレベーターの停止により、特別展望台(高さ250メートル)の約100人と、大展望台(高さ150メートル)の約300人の客が非常階段などで降りることになりました。

新宿区の都庁第一本庁舎では直通エレベーターの停止により、45階の展望室(高さ202メートル)の約250人の客が32階まで階段で降り、稼働していた一般用エレベーターで降りることになりました。

全員が避難するのに約1時間半かかったようです。

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一方、横浜市西区の横浜ランドマークタワーではエレベーターの停止により、展望フロア(高さ273メートル)の約160人が一時身動きが取れなくなったと神奈川県警が報じました。

さらに埼玉県草加市栄町では14階建てマンションのエレベーターが停止時、内部に60歳代男性住民が1人閉じこめられてしまったと埼玉県草加市消防本部が報じました。

三菱電機ビルテクノサービスというエレベーター保守・管理会社からは、同社が管理する首都圏の1都6県のエレベーターのうち30日午後10時半現在6000基が地震で自動停止して閉じ込めの通報も数件あることを報じました。

これらのエレベーター停止は強い地震を感知しての緊急停止なのですが、建築&住宅ジャーナリスト 細野 透氏は2006年11月に発表された日本建築学会と土木学会の「海溝型巨大地震による長周期地震波に備えるべき」とする49項目からなる共同提言の中で、高層建物からの「全館避難」を可能にするという項目に注目しておられます。

実は日本の超高層建築物は「全館避難」を想定しないつくりになっているというのです。

火災が発生した際には、防火区画と防災設備が適切ならば限定エリアに火災を閉じこめるので、火災階やその上下の複数階にいた人は避難階段などへ逃げ込む「階避難」で安全が確保されると考えるのだそうです。

ところが実際の火災の際にはほとんどの場合、火災階より上階の人はすべて地上へ誘導されるらしいのです。

設計では「階避難」ですが実際は「全館避難」になのです。

つまり設計と避難の実情に乖離があるということなんですね。

例えば10階建てのオフィスビルで、各階の床面積が3000平方メートル、働く人は各階250人、全体で2500人の場合に避難階段が2カ所で階段の幅が1.8mというのは設計上は問題がありません。

ところがこれが40階建ての全体で1万人が働く超高層ビルで、避難階段が2カ所、階段の幅が1.8mのままでも建築基準法的には合法となっているのだそうです。

細野 透氏は「全館避難」の実情からは不十分と思われるのに、設計の「階避難」からは十分という判断がされていることに危機感を募らせておられます。

今回は地震による火災は発生していませんしパニックも発生していないようですが、高層階に取り残された客が全館避難するのに数時間もかかりました。

強い地震がもう少し長時間続き火災やパニックが発生した場合、少ない避難階段に人が溢れて身動きが取れなくなったら、逃げ遅れで多数の死傷者が生じてしまうのではと思います。

既存の建築物では難しいかもしれませんが、新規の超高層建築物では「全館避難」の経路を十分に確保しておく必要がありますね。

また、自衛として非常階段は予め確認しておく習慣を持つ方がいいと思います。